第一回 アリストテレス➀幸福

第一回 一羽の燕が、またある一朝夕が春をもちきたすのではなく、それと同じように、至福なひと・幸福なひとをつくるものは一朝夕や短時日ではない。

アリストテレス『ニコマコス倫理学』

 

それでは今回から、『名言から読み解く哲学・思想』、やっていきたいと思います。よろしくお願いします。

 

詳細な解説に入る前に、簡単にまとめた概要をご覧下さい。

 

 

🐂 「どうモ~、こんにちは」

分かりづらいブログをわかりやすく解説する試みです。それでは始めて行きましょう。

まず、アリストテレスについてですが・・・

https://www.youtube.com/watch?v=KcuCD6vpnt0

 

ぴよぴーよ速報さんのこちらの動画をご覧いただけるとわかりやすいと思います。

アリストテレス「世界は見たまんまだ」

アリストテレスはこのように主張しましたが、何故彼はこんな事を言ったのでしょうか?

 

1.イデアから形相へ

アリストテレスは、自分の師匠であるプラトンが主張した、イデア論を批判しました。

アリストテレス「プラトン先生、イデア界って、存在することを証明できませんよね?証明できないことを前提にして、議論していいんスか?

と主張しました。

では、アリストテレスはどのように考えたのかというと、

アリストテレス「そのものの本質イデア界とかいう訳分からん所ではなく、そのものの中にあるはずだ」

と、考えました。

 

実はアリストテレスはプラトンのアカデメイアに入学する前から、動物や植物の観察をずっと続けていました。

アリストテレス「種を植えると芽が出て、そこから葉を出して、幹を延ばし、最終的にその植物になって種を作り出す」

考えてみれば、種も、芽も、葉も、幹も、そして種を覆う果実もそれぞれ別の存在で、次々と姿を変えていくのは不思議です。この事実から、

アリストテレス「きっと自然界のあらゆるもの何らかの目的を持っているんだと思うな~」

という仮説を立てました。この仮説をさらに頭の中で掘り下げます。

アリストテレス「この種の中には、『芽になろう』という、そして芽には『葉を付けて幹を延ばそう』という、そして幹には『木になって果実を実らせよう』という、それぞれ目的を持っている

アリストテレスは、このそれぞれの姿が持っている目的のことを、

『形相』と呼びました。そしてこの『形相』プラトンの『イデア』と比較して、

アリストテレス「そのものの真の姿イデア界にあるんじゃなくて、そのものが持っている『形相』によって決まる」

と主張しました。そのものの中に形相があるんだから、イデアなんか無くてもいいだろ、て事ですね。

そのものの形相は何なのかを知る為には、そのもの自体をよく観察して調べなければなりません。頭の中でイデアは何なのかあれこれ考えても答えは出ないんですね。

よってアリストテレスは、

アリストテレス「世界は見たまんまだ」

と主張しました。ちなみに、アリストテレスの自然界にあるものは全て何らかの目的を持っている、という考え方の事を、

『目的論的自然観』といいます。

2.全ての人間は知る事を欲する

さて、自然界に存在するものは、何らかの目的を持っています。

では、人間はどうでしょうか?人間が存在する目的はなんでしょうか?

アリストテレスは、人間が存在する、則ち生きる目的を知る為に、自分を含めた人間をよく観察しました。そして、

アリストテレス「人間って、みんな知りたがりだよな~」

と考えました。さらに、

アリストテレス「特に、自分の長所とか能力については凄く知りたがるな~」

という事実を発見しました。

3.人間だけが持つ卓越性

また、アリストテレスの師匠の師匠であるソクラテスは、

ソクラテス「正しいことを知る事で、人は幸福に生きられる」

という信念を持っていました。さらに、こう言いました。

ソクラテス「正しいことを知る事は、魂を善い方に向ける事だ」

弟子のプラトンは、ソクラテスのこの考え方を引き継ぎました。そして、

プラトン「人間は自分が持っている、最も優れた徳を最大限発揮して生きる事で、最も幸福に生きられる」

と主張しました。

プラトンは、他の動物にはない、人間だけが持っているとされている卓越性の事を、徳と言いました。

ここでいう卓越性とは、「能力」とか「才能」と言い換えても良いです。

プラトンは、この「徳」というキーワードを使って哲学史上初めて『国家』について論理展開するのですが、話が脇道にそれますので今回は置いておきましょう。

4.人生における幸福

さて、アリストテレスはプラトンを批判しましたが、「徳をより善く発揮して生きる事が幸福だ」という考え方は引き継ぎました。この考え方と、「人間は特に自分について知りたがること」、「目的論的自然観」を組み合わせ、次のように主張しました。

アリストテレス「人間の目的自分自身の徳を知る事、そしてその徳を発揮して生きる事

そして、

アリストテレス「徳を発揮して生きる幸福は、快楽による一時的な幸福とは違う。一時的な幸福と、人生における幸福は区別しなければならない

と主張します。

5.本当の幸福のために

では、今回の名言です。

一羽の燕が、またある一朝夕が春をもちきたすのではなく、それと同じように、至福なひと・幸福なひとをつくるものは一朝夕や短時日ではない。

と、このようになります。人生における幸福は、自分自身の徳を探し出し、それをよりよくしようと努力し、その徳を社会の中で発揮する事で初めて実現できます。そういった幸福は快楽による幸福とは違うから、本当に幸福になりたいのなら注意しな。そのようなアリストテレスのメッセージが籠もっています。

 

🐂「以上、わかりやすいまとめでした。この内容の掘り下げをこの後やりますので、もしよろしければこちらもご覧いただければ幸いです」

 

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